山田語録

山田一成

楽と欲

今、転職したいと思っている方、あなたはどちらのタイプでしょう?

A.今と同じくらいのお給料でいいから、今より楽な仕事に転職したい「楽」タイプ?
B.今よりもっと苦労してもいいから、今よりいいお給料が欲しい「欲」タイプ?

ここに「楽」タイプのAさんと「欲」タイプBさんがいたとします。
2人とも営業マンで1日10km歩いて外回りをして、20万円のお給料を貰っていたとしましょう。


Aさん(「楽」タイプ)の場合
入社当時は1日10km歩いていましたが、楽をしたいのでそのうち歩く距離が8kmになりました。
だんだん歩く距離が減っていって今や5km。
Aさんはこう考えています。
「契約も給料も増えないけど、5km歩いて今の給料維持すればいいや」
すると最初は10km歩けてたはずなのに、5km歩くのも大変に感じるようになって、そのうち5kmも歩けなくなってしまいました。

だんだんとお給料も下がってきて、生活が苦しくなってきたので、転職することにしました。
「今と同じ給料で前よりもっと楽できるところないかな」
「できれば1日3km歩けば20万円もらえるところがいいな」

希望の会社が見つかって1日3km歩けば20万円もらえる会社に転職しました。

初めの頃こそ1日3km歩いていましたが、楽をしたいのでそのうち歩く距離が2kmになりました。
Aさんは相変わらずこう考えています。
「契約も給料も増えないけど、2km歩いて今の給料維持すればいいや」
すると最初は3km歩けていたはずなのに、2km歩くのも大変に感じるようになって、そのうち2kmも歩けなくなってしまいました。

だんだんとお給料も下がってきて、生活が苦しくなってきたので、また転職することにしました。
「今と同じ給料で前よりもっと楽できるところないかな」
「できれば1日1km歩けば20万円もらえるところがいいな」

ところが、さすがにもうそんな会社はありません。
楽をしようと怠け癖がついて負のスパイラルに陥ってしまったAさん。
自分も気づかないうちに体力・精神力ともに衰えた人間になってしまいました。


Bさん(「欲」タイプ)の場合
入社当時は1日10km歩いて20万円のお給料をもらっていましたが、だんだんと欲が出てきて、
「もうちょっといい暮らしがしたい。」
「歩く距離は増えてもいいから稼げる会社に転職しよう。」
と考えるようになりました。

そして、1日20km歩かないといけないが、お給料は40万円もらえる会社に転職しました。
最初は苦労しましたが、そのうち体力も精神力も慣れてきて、1日20km歩けるようになりました。

ところが、仕事に慣れてくるとまた欲が出てきました。
「もっともっといい暮らしがしたい。」
「歩く距離は増えてもいいから、もっと稼げる会社に転職しよう。」

そして、1日30km歩かないといけないが、お給料は60万円もらえる会社に転職しました。
最初は苦労しましたが、そのうち体力も精神力も慣れてきて、1日30km歩けるようになりました。


現在
Aさんは1kmも歩けない体力と精神力になってしまいお給料も下がってしまいました。
Bさんは30km歩ける体力と精神力を得てお給料も増えました。

転職という結果だけを見ると同じですが、そこにいたるプロセスと、その先の人生が違ってきています。
楽を選んで堕ちていくだけの人よりも、苦労してでも願望を叶えたい欲深い人の方が、その人自身の成長につながることがあるかもしれません。


自分が「楽」タイプだと思う方へ
注意してください。
人間は楽をしようとして怠けだすと、クセになって、どんどん頑張れなくなってしまいます。
仮に、今と同じくらいのお給料がもらえて、今より楽な仕事に転職できたとしても、何年かしたら、また「楽をしたい」という理由で転職先を探すことになるんじゃないですか?

自分が「欲」タイプだと思う方へ
よく考え直してください。
例えば、今の2倍頑張れば今の2倍お給料がもらえるような会社に転職したとします。
でも、今の仕事のままで2倍頑張ったら、今の2倍以上のお給料をもらえる可能性はありませんか?
もしその可能性があったのに気づかず転職してしまったとしたら、転職のために使った時間や労力は無駄になってしまうかもしれません。

さて、あなたは「楽」タイプ?それとも「欲」タイプ?